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「慰安婦」問題と未来への責任 という本を読んだ。 p45 『よく知られているように、奴隷制の定義は、1926年の奴隷制条約で確立している。それは「奴隷制とは所有権に伴ういずれか若しくはすべての権限が行使される人の地位または状態をいう」というものだ。「地位」とは法的奴隷制を指し、「状態」とは事実上の奴隷制を意味する。また、「所有権に伴う権限」の行使とは、人の自由または自律性を重大なやり方で剥奪することだ。例えば、奴隷制に関する著名な国際法学者たちが中心になって2012年に作成した「奴隷制の法的要素に関するベラジオ－ハーバード・ガイドライン」によれば、｢奴隷制の場合に於いて、『所有権に伴う権限』の行使とは、人に対する支配であって、その使用、管理、収益、移転、または処分により、当人の個人としての自由を重大に剥奪するものと理解すべきである。通例、その行使は、暴力、欺罔及び／又は強要などの手段に支えられて達成される｣とされている。なお、性奴隷とは、性的な奴隷という意味であり、性奴隷制は奴隷制の一形態である。 日本国内では、古代ギリシア・ローマの奴隷制やアメリカの奴隷制のイメージから、｢慰安婦｣を性奴隷というのは納得できない、という意見が一部にあるようだ。また、女性たちが軍・官憲により奴隷狩りのように暴行・脅迫を用いて連行されたのでなければ、性奴隷とはいえないという見方も一部にあるのかもしれない。しかし、現代の奴隷制の定義は上記のとおりである。また、女性たちが性奴隷状態にされているかどうかは、徴募の形態とは直接関係ない。女性たちは｢慰安婦｣制度のもとで、｢居住の自由｣｢職業の自由｣｢軍人の性の相手を拒否する自由｣などを奪われていたことは実証されているから
、性奴隷状態におかれていることは明らかである。』 （つまりここでは奴隷というのはギリシア・ローマの奴隷やアメリカの奴隷制のことではなく、また、軍・官憲により奴隷狩りのように暴行・脅迫を用いて連行されたのでもない状態のことをいっている、と書いているのだ。それは要するに｢賃金奴隷｣のことらしい。ならばそれは別に異論を唱えるほどのことではない。 しかし、普通の人、外国人は奴隷という言葉からはギリシア・ローマ・アメリカの奴隷のことだと理解するだろう。日本には奴隷制度があったのだ… 。これからは「賃金奴隷制度（性的）」と正確に書くべきだろう。） 『なお、戦前の日本では、国内の公娼制度は人身売買と自由拘束を内容とする事実上の奴隷制度だという公論がかなり広がっており、若槻礼次郎元首相や新渡戸稲造元国際連盟事務局長次長も同様な見解を表明していたし、戦後、著名な民法学者、川島武宣東大教授は芸娼妓と抱主との関係を｢奴隷と奴隷所有者との関係である｣と論じていた。当時の娼妓や芸妓が奴隷状態におかれていたとすれば、「慰安婦」の場合はなおさらそうだということになる。』 （「新渡戸稲造は、札幌農学校の学生時代に、クラーク博士の影響のもとで、クリスチャンになりました。」だそうだけれど、若槻礼次郎はどうなのだろう。 以前プロテスタントの宣教師に公園で話しかけられたことがある。その時、なぜ売春は「悪」なのか聞いてみた、 「聖書に書いてある」のだそうだ。キリスト教ではそもそもセックスはしてはいけないのだけれど、それではキリスト教徒がいなくなってしまう。なので子供を産むためにのみ、神は人間にセックスをお許しになった、だから売春は悪なのであり、同性愛も悪なのであり、オナニーも悪なのだ…… イギリスの寄宿学校には肩まで布団に入って寝てはいけないという規則があってそれは少年にオナニーをさせないためで、夜になると舎監がちゃんと手を外に出して寝ているか見回ったのだそうだ。 我が国ではセックスは悪ではない。イザナギとイザナミはミトノマグワイをして日本の国や神々を生むのだ。売春婦を醜業婦などというようになったのは明治になってからで、西洋文明がすべて人類の進歩を代表しているのだと思い込んだからだ。大嘗祭では天皇が巫女さんとセックスするのだ。） 参照→ http://indiagoose.la.coocan.jp/jokyo20.htm p159 『証言 未来への記憶 アジア「慰安婦」証言集Ⅰ・Ⅱ 南・北・在日コリア編 上・下』は、計26人の朝鮮人「慰安婦」被害者の証言を収録している。これらの証言を読んだものが誰しも気づくことは、ほぼすべての被害者が、慰安所で日本兵によるすさまじい暴力を受けたと証言していることである。……当時あまりにも幼かった金英淑（キムヨンスク）は、軍人に性器を刀で切り裂かれた。斬り殺された少女もいたとの李玉善の証言もある。「慰安婦」は殺されることもあった。殺害するのは見せしめのためでもあった。金英淑の証言では、ある妊娠した「慰安婦」が、皆がみている目の前で、木に吊され、軍刀でお腹を切り裂かれ他。日本兵は、でてきた腸や胎児をめった切りにして、見ていたその他の「慰安婦」たちの首に掛けたという。＊30 （＊30の註を見ると同前書・上となっていて、＊29には西野瑠美子「証言にどう向き合うか」前掲『未来への証言 上』とある。） 30年ほど前だろうか、代々木公園にイラン人が集まっていて、テレホンカードを売っているのだという。偽造のカードに決まっているし、毛むくじゃらの大男が集まっていて怖い、と噂が飛んだ一時期があった。 ある日テレビをつけるとワイドショーのキャスターとアナウンサーが謝っている。何を謝っているのか、途中からでよく分からなかった。しばらく見ていてどうもこういうことらしいと推測がついた。（これは私が見聞きしたことではなく、再構成したことだ）つまり誰かから、代々木公園でイラン人が子供を誘拐した、子供が行方不明になっている、と通報があった。それをワイドショーがそのまま視聴者に注意してください、と流してしまった、ということらしい。 イラン人にだって犯罪者はいるだろうが、それはイラン国籍の誰々が犯罪を犯しているという話であってイラン人が犯罪集団だとされてはならない。 誘拐事件という重大犯罪なのだからしっかりした証拠もなしに誰かか、ましてやイラン人全体が誘拐犯であるかのような言説は流してはならない。これでは朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだとデマを流したのと変わらない。これは民族ヘイトだ。 ところでこの本の証言で、妊婦の腹を裂いた日本兵の話が出てくるが、それは重大な殺人事件だ。誰かが殺人犯だとされるからには明確な証拠に基づいて犯人であることが立証されなければならない。日本兵にだって殺人犯はいるだろうが、ここでは「日本兵」というだけで検証しようもない。日本兵全体が殺人鬼集団だといっていることになる。 これではこの本は民族ヘイト本だといわれてもしょうがない。 このページまで読んで、あらら、と力が抜けてしまい、あとはまともに付き合う気持ちがなくなった。 朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ。朝鮮人は悪いやつだ、皆殺しにしてしまえというのと同じレベルの本だ。 |