「サヨナラ！操作されたお金と民主主義

なるほど！マネーの構造がよーくわかった」　　天野統康

『p178

一般的にはドイツのハイパーインフレーションが起きた原因を「当時のドイツ首相がフランスとベルギーによるルール地方の占領に対処するため、大量の紙幣を発行したから」と説明されてきた。

　ところが、中央銀行が私有化されたのは1922年5月、ルール地方を占領したのは1923年1月である。すでに中央銀行は政府から独立しており、政府が紙幣を刷ることなどてできない。この私有化された中央銀行が大量に紙幣を刷ったのである。

　ハイパーインフレとマルクの暴落を起こすには、つぎの三つの方法が用いられた。

　⇒中央銀行自らが大量の通貨を発行する。

　⇒民間銀行が信用と通貨をつくる。

　⇒投機筋が空売りを仕掛ける。

　この通貨のトリプルコンビネーションによってマルクは崩壊した。

　時の首相は、中央銀行総裁の解任権がなかった。そのため、通貨をするのを止めるように総裁に要求したが聞き入れられなかった。しかしハイパーインフレが最高潮を迎えたときに、奇妙なタイミングで総裁が突然死した。任命権は首相にあったので、通貨委員で銀行業に精通していたシャハトを新しく総裁に任命した。その後、シャハトはレンテンマルクという新しい通貨を発行し、法律を改正させて外国投機を制限し、ハイパーインフレを抑え込み通貨価値を安定させいてく。中央銀行の政策によって引き起こされたハイパーインフレは、中央銀行の政策変更によってたちどころに収束したのである。』

｢世界を騙し続けた詐欺経済学原論｣では、奇妙なタイミングで総裁が突然死した、のあとに「暗殺が疑われている｣とコメントが付いている。国士がいたのだろうか。

p194

なぜ戦後の日本は驚異的な発展をしたのか？

第二次世界大戦後、驚異的な発展を遂げたのが日本である。戦後の日本は社会主義諸国はもとより、どの資本主義国よりも高い経済成長を実現した。その理由は独自の資本主義システムを作り上げたためだ。

　戦前から日本は資本主義と限定的な民主主義取り入れていた。しかし戦前の日本の経済システムは欧米型の株主資本主義に近かった。財閥が

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