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日本帝国の申し子 カーター・J・エッカート p94 朝鮮資本主義と帝国資本主義との密接な協力関係 京(キョン)城(ソン)紡織株式会社（京紡(キョンバン)）の発展は、朝鮮資本主義が1945年以前に開花したことを如実よ物語っており、同社の業績は通説（萌芽説）を完全にくつがえすものである。通説によると、朝鮮の資本家成長の萌芽は17,18世紀に初めて見られたが、1876年以降は日本の帝国主義にほぼ根絶され、ふたたび出現するのは1945年以降であるとされている。だが先にも述べたように、朝鮮資本主義のルーツを1876年以前に設定するのは、学者の希望的観測の産物に過ぎない。いっぽう、1876年をさかいに朝鮮人資本家が出現し、ようやく産業に目を向け始めたということには疑いの余地がない。植民地支配は資本家の成長を抑えるどころか、むしろ大きく前進させた。すでにのべた政治的および経済的理由によって、日本は朝鮮人資本家階級の発達を容認し、これを支援したのである。 こう主張したからと言って、日本の帝国主義を弁護するものでは決してない。私の意図は、今なお多くの韓国人学者の間に充満している植民地神話の一つを払拭することにある。植民地支配がなければ、朝鮮人が自力で資本家階級を生みだしたという可能性もないとは言いきれない。しかし、実際はそうならなかった。朝鮮の資本主義は、植民地支配という環境の中で最初の真の成長を遂げたのである。確かにこれは不幸なことであり、多くの朝鮮人には認めがたい不快な私的かもしれない。しかし、それはまぎれもない事実なのである。 p153 実業倶楽部のように、朝鮮人によって設立された朝鮮人主導のビジネス団体が存在していたことを見ても、朝鮮人資本家階級が1930年代には植民地体制にしっかり溶けこんでいたことがわかる。政府と実業界の公式もしくは非公式のさまざまな交流においては、朝鮮人資本家も日本人資本家と同じようにかかわっていたようだが、これは驚くべきことである。資本家階級は朝鮮人・日本人を問わず、政策決定の最高レベルの公式会議に参加するだけでなく、総督自身を含む高級官僚に接する非公式な会合も定期的に楽しんでいた。このような状況は日本人であろうと朝鮮人であろうと、一般の植民地住民には想像もつかないことだった。齋藤を「慈父」と呼んだ韓相龍は、たんに媚びへつらっていたわけではない。彼が選んだ言葉は、自分を含む朝鮮人実業家と総督府役人のあいだでの個人的な体験と交流に基づいたものであり、儒教的色彩の濃い官僚資本主義体制における政府と実業界の関係を反映していたのである。 付録2 「正義のために死す――皇国臣民の責任は重大なり」 （略）目下われわれが果たさねばならない義務とは何か、それは諸君が重々承知しているとおりである。諸君をはじめ、我ら朝鮮の同朋は大東亜の聖戦に参加する義務がある。この聖戦を通じて〔我らは〕新時代の到来を見、人類の歴史に残る大事業をなしとげるのだ。諸君は朝鮮の土地に生を享けただけではなく、礼節正しい人間へと育まれるなどの様々な恩をこうむってきた。国家から、家族から、社会から、そのすべてから恩を受けてきたわけだ。その過去の恩に報いるために、いま諸君の一人一人が義務を果たすことを求められているのである。そして過去への義務以上に重大かつ厳粛な義務が、未来への義務である。 万が一、諸君が大東亜の聖戦に結集しなければ〔どういう事態になるか〕想像してくれたまえ……大東亜の新秩序は我々〔朝鮮民族〕抜きで成し遂げられてしまう。大東亜に生を享けるという〔恩〕がありながら、その恩を返さなかった落伍者として、我々はこの歴史的瞬間に存在することができなくなる。この聖戦の戦線から逃れるなら、諸君のとるに足りない個人の命は守れるかもしれない。だが、のちの世に生まれてくる、諸君の兄弟姉妹はどうなるのだ。まさしく、諸君は朝鮮の未来に絶大な義務を負っているのだ。 諸君の不安はまさしくこの点に凝縮されているのではないだろうか。しかし諸君の不安や疑問などお構いなしに、時は刻々と過ぎている。大東亜の建設は着々と進み、諸君のちっぽけな存在のために割く暇などありようがない。今回の進軍がもたらしたこの生涯一度の機会を逃すならば、朝鮮は後れを取って大東亜の建設に参加できなくなり、さらには皇国臣民として胸を張って大東亜の一員となることもできなくなるのだ。義務を果たしてはじめてこの地に住むことができ、皇国の一員として日本〔国民〕と全く同様の処遇、いや権利を享受することができる。西洋においては、権利を主張した結果として義務が生まれると考えられているが、この東洋では伝統的に、義務を果たしてはじめて権利が生じると考えられてきた。我々は皇国臣民であると主張して以来、私はしばしば諸君の臣民としての権利を求める声を耳にしてきた。しかし、冷静に考えてみれば、日本人は今日の帝国の繁栄を築くまでに3000年もの長きにわたりありとあらゆる義務を履行してきたのだ。しかるに、我ら〔朝鮮人〕はいまだわずか30年である。3000年と30年との差を鑑みれば、同等の権利など求められようか。このようなことは誤った考えであり、権利を主張することしか知らぬ西洋人の思想に惑わされた〔結果〕と思い知るべきである。 私は〔諸君にぜひとも伝えたい〕次のような信念をもっている。義務を履行するにあたって、時間の長さはさほど重要ではない。重要なのは費やす時間ではなく、義務そのものの質なのだ。短い時間であっても大きな義務を果たすことによって、日本人が長きにわたって払ってきた犠牲にかなうことは不可能ではない。そして今まさに、我々は義務を果たす最大の機会を目前にしているのだ。 諸君の犠牲は決して無駄にはならないと、ここに宣言しよう。それは諸君に生を与えた朝鮮半島のための犠牲であり、その犠牲によって朝鮮半島は皇国の一員となる〔ために必要な〕資格が与えられるのだ。まさに朝鮮の未来は、諸君の行動にかかっているといっても過言ではない。 金性洙(キムソンス) 『毎日(メイル)新報(シンポ)』（1943年11月6日付） ――――――――― 2018/5/4 「東亜⽇報創⽴者の親⽇反⺠族⾏為は事実」 ４年越しの控訴審でも認定 : 政治•社会 : hankyoreh japan 東亜⽇報を設⽴した仁村・⾦性洙(＜キムソンス＞1891〜1955)が“親⽇⾏為”をした事実が控訴審でも認められた。ソウル⾼裁⾏政7部(裁判⻑ファン・ビョンハ)は14⽇、仁村・⾦性洙の曾孫であるキム・ジェホ東亜⽇報社社⻑らが⾏政安全部(現、⾏政⾃治部)⻑官を相⼿に起こした親⽇反⺠族⾏為決定取消請求訴訟で「1審の事実認定は正しい」として原告の控訴を全て棄却すると明らかにした。1審同様、⽇帝強制占領期当時の⾦性洙の親⽇⾏為が認定されたわけだ。 仁村記念会は2009年6⽉、「親⽇反⺠族⾏為真相究明委員会」(真相究明委)が⾦性洙を親⽇反⺠族⾏為者と決めると、取り消しを求めて⾏政訴訟を起こした。 1審裁判所は2011年「⽇帝強制占領下の反⺠族⾏為真相究明に関する特別法」の親⽇⾏為判定条項に照らして、仁村・⾦性洙に適⽤された3項⽬のうち学徒兵・志願兵に関する主導的宣伝、⽇本の植⺠統治および侵略⾏為への積極的協⼒の2点は親⽇⾏為であると認められると明らかにした。しかし裁判所は「⾦性洙が1941年に親⽇団体の委員に選ばれ⽇本帝国主義の内鮮融和や皇⺠化運動を積極的に主導したという部分については具体的資料がない。社会・⽂化機関や団体を通じて⽇本帝国主義に協⼒したという真相究明委の決定は不当だ」と判断した。 この⽇の宣告は2011年11⽉に控訴が提起されてから4年2カ⽉後に下された。ソウル⾼裁はこれまで宣告を何度も延期し、裁判⻑は5回も変わった。
昨年2⽉にも宣告期⽇が予定されたが裁判所の⼈事異動を控えて突然延期されたことがある。仁村記念会は「上告については検討中」と明らかにした。 ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr ) |